デザインコンセプト論  羽田 隆志 著

デザインコンセプト論  羽田 隆志 著

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本の詳細

著者メッセージ

日本は取り残されました。物づくりに固執し、価値づくりができていません。生産者目線から離れることができず、真の「顧客目線」の理解も曖昧です。人間の外形要素に囚われ、本当の目的を見過ごしています。クリエイターの仕事は、新しい価値を生み出して社会の発展に貢献することです。ところが開発の主軸となるはずのデザインコンセプトに関する知識と考え方は高度成長期のままなのではないでしょうか。開発とは、生産者から消費者に向かって施す行為ではなく、両者によって新しい価値が生み出され螺旋を描きながら次の段階へ登って行く創造活動です。顧客との「感情の同化」ができなければ、どんな観察・洞察・思いやり・配慮・施しも、すべて他人事目線なのです。真の顧客目線とは何か、真のターゲットユーザーとは何か、根本から問い直すことによって新しい価値を生み出すコンセプトを立案するのです。本書はその一助となることを目的としています。

 

 

発売日:2024年1月15日

 

著者羽田隆志

サイズ:B5

ページ:158ページ

ISBN:978‐4‐910911‐08‐3

 

著者略歴

羽田隆志(はだ たかし)

大手自動車メーカーを退職後、素人でも55km/hで巡航できる高速自転車の開発、MAZDAロードスターのトランクに入るスタッキングミニベロの開発、FJ1600のフレーム設計、エディトリアルデザイン、Webデザイン、ブレーキ製造ラインの不具合対策設計、CADツール開発、バーのマスター、そして大学教員など、様々な職業を経験。奇跡的な出会いがありV.S.Monkeyを開発、商品化した。さらに、三輪車両、各種の超小型電気自動車、車輪やサスペンションを交換して操縦性の変化を体験できるテーマパーク用の乗りもの、ボンネビルモーターサイクルスピードトライアルで世界記録を樹立したモーターサイクルのステアリングシステムとフレームなどを開発。すべての開発においてデザインコンセプトが結果を大きく左右することを学んだ。現在、静岡文化芸術大学デザイン学部教授。

 

 

 

目次

まえがき

1章 デザインの定義
デザインの定義の前に、プロセスについて
「デザインとは」
デザインの定義の変遷
デザイン作業のなかでの判断基準は何か?

2章 コンセプトの定義
コンセプトとは何か?
なぜ「コンセプト」は充分に議論されてこなかったのか?
コンセプトはどんな役割を果たしているか?
コンセプトは時代によって変わる
認知や思考の特性によって捉え方が異なるという課題もある
デザインコンセプトをもとにスタイリングコンセプトを作成する
「重要なこと」を重視しよう
コンセプトこそ、語り合おう
残された懸念
必ずコンセプトが先になければならないのか?
見えない欲求
潜在欲求「言葉にならない心のうずき」
立場によりコンセプトの定義が違う
「船頭多くして船山に上る」
マルチモーダル人材の必要性:関連分野とのバランス調整ができる人材
ターゲットに提供する価値「ターゲットが手に入れて嬉しい価値」

3章 ターゲット・コンセプトへの 転換
商品Mapで検討しても新しいコンセプトは見つかりません
「ウイッシュMap」の作成
ターゲット・コンセプトは
「好かれる」のはなぜか?
好きになるということ
顧客目線

4章 ターゲットユーザーを 見つけ出す
ターゲットユーザーは誰か?
見過ごしてきたターゲットを見つけるための「関係者Map」の作成
第三者との関係が深いもの
ターゲットユーザーの設定

5章 発想法
発想法の歴史的転換
発想
デザイン思考について
なぜ定義が安定しないのか
5.1.多産を目的とした発想の考え方
発想の3つのレベル
発想を知る前に発想を妨げているものを知る
固定観念
知識が足りない
ブレーキを外す
無邪気に
MAYA理論
独創性とはなにか
では、個性とは?
「さあ、まずアイディアを出そう!」という間違い
発想の2つの系列
発想の系列1:「関連が見える連想の系列」
独りでの発想を広げる発想法
997/1000
固定観念からの解放
革新が起こることと、革新は起こり得ないことを見極める
発想法と問題解決手法の区別
5.2.必要な発想だけを得る発想法
量を求めない発想法、つまり必要なアイディアだけを出す発想法とは?
逆行推理開発法(詳細は6章を参照してください)
アイディアは出すもの? 作るもの?
発想の系列2:「関連の見えない連想の系列」
二元結合
アナロジー思考
誰も見つけていないものを見つけ出す発想法:二分発想法
さらにもうひとつ、誤解を利用する発想法
アイディアとは出発点ではなく、設定した目的を実現するための解決策

6章 企画立案法
逆行推理開発法
仮想目的の設定
価値の抽象化/具象化サイクル
最終目標は「残される記憶」
目標の変更
好ましい思い出をもたらす価値あるユーザーエクスペリエンスこそが目的
真の顧客目線を実現する感情の「同化」

7章 比較解析法
比較解析法
総合判断
比較解析表はコンセプトの設計図
アンケート調査の方が客観的か?

8章 ユーザーエクスペリエンスの 進化スパイラル

9章 すべての起点=目的は UXデザイン
評価基準
生産品は「思い出の運搬BOX」

10章 魅力
レーダーチャートの問題点
魅力とは何か
感情的評価
同じ目的で何度も実現方法が生み出されてきたもの
評価判断の基準
魅力
愛される欠点

11章 スタイリング・設計・生産
スタイリング
形のボキャブラリー
設計・生産

12章 教育
【デザインコンセプト論】
【コミュニケーションプロダクツ】

13章 事例
V.S.Monkey(Virtual Steering Monkey)
EX3

14章 統合
言葉を変えた方がよいかもしれません:主語を生産者から顧客へ
感情という判断力
生産者たる者、己を知るべし
第1ターゲット、第2ターゲット
ビジョン・パーパス・ミッション・バリュー
なぜ生まれてきたのか、なんのために生きているのか

まとめの資料
あとがき
参考文献

 

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